用語一覧
Mechanical Bloody Rose(以下メカブロ)に出てくる用語や世界観についての説明。
五十音順です。適宜追加・追記していきます。
※本編投稿状況に合わせてネタバレ具合も調整しています。だいたい最新話まで視聴済み前提で書いておりますのでネタバレ構わんという方以外は本編を先にどうぞ・・・
あ行
【王の盃】おうのさかずき
カーセルベレスを守り、人々に“加護”を与える盃。盃の中は当代の王の血で満たされている。これが涸れると神竜がカーセルベレスに干渉することが不可能になり、“加護”が消えてしまう。
【王立特殊兵養成学校】おうりつとくしゅへいようせいがっこう
薔薇兵を育てるための学校。首都にある。ちなみに薔薇兵は通称であり正式名称は特殊兵(⇔一般兵)。
座学と実技によって構成されており、ガーデンの隣にある。15歳から入れる 。3年間ここでローズギアの使い方からクイーンやセレブレストラについてのこと、その他一般教養を学んだ後、正規兵となる。二年生から各部隊に配属されるが、配属される部隊は本人の希望と各部隊の薔薇兵、総司令部の選考で決まる。訓練生二年から各部隊に沿った訓練が共通科目と共に行われる。訓練生三年になると本格的に実戦に参加することも多くなるため、実質訓練生期間は2年間。
一年生、二年生の間は全寮制。以降は自由。寮は各色の訓練生がランダムで4人に1部屋与えられる。
【奥の間】おくのま
神の庭及び神の宮に存在する部屋。文字通り最奥にあり、妄りに立ち入ることは禁じられている。神の世界に通じているらしい。
か行
【カーセルネクタル】かーせるねくたる
血鋏を構成する血のように赤いどろどろとした液体。カーセルベレスにおいてこの液体が湧き出る場所が何か所かある。飲んでも毒にも薬にもならない無用の物質だと思われていたが毒花にかけると毒花が溶けるという性質が発見されてから、この性質を利用した血鋏が開発され庭師という存在が生まれた。
【カーセルベレス】かーせるべれす
セレブレストラとは別に存在する、もう一つの世界。正式名称は「カーセルベレス王国」。古い言葉で「鎮めの地」という意味を持つ。
畏怖の神、神竜エリアスが信仰されており、その代理ともいえる存在の王が統治している。毒花が出現し、それを血鋏という武器を扱う庭師と呼ばれる人々が駆除している。
セレブレストラを常春の国と呼ぶならばこちらは常冬の国と言えるかもしれない。とはいえ物理的に寒いというわけではない(セレブレストラよりは平均気温低めですが)。セレブレストラのように色とりどりの花が咲き人々も陽気で明るいというわけではなく、無機質な人工物に重きを置く文化が根付いている。毒花のせいで植物が忌み嫌われているということもその一因。人々は勤勉で滅私奉公的思考であり、怠惰を嫌う傾向がある。王の喪失により世界の崩壊が始まるまでは進んだ技術を数多持つ近未来的な世界だった。
また、人工物に重きを置く文化なだけあり、厳密に区画で区切られた計画都市が広がっている。中心に位置する神の宮から近い順に第Ⅰ区、第Ⅱ区・・・となっており、全盛期は第XXX(30)区まで存在した。現在は人口も減り、廃墟となってしまっている区画もある。
このように合理的文化が発達している反面、“竜の巫女”という生贄制度が確立、存続している呪術的国家の一面もある。これは「われらの知恵は神竜様のために」という信仰心が根底にあることが関係しているのだろう。
【ガーデン】がーでん
セレブレストラにおける唯一の公的軍事力兼治安維持組織。要は軍隊兼警察。薔薇部隊の総司令部があるのもここ。日常的な事件の対処から薔薇部隊の統率までを担う。また、ガーデンのある場所を指すこともある。本部は首都に、支部がそれぞれの都に置かれている。本編の薔薇兵たちは首都本部所属の薔薇兵であり、支部にも各部隊と隊長その他の役職が存在する。
【外世界】がいせかい
セレブレストラ及びカーセルベレスとは別に存在する世界。女神及び神竜信仰、ローズギアや血鋏、あるいはクイーンや王といった存在や制度はないがそれ以外はセレブレストラやカーセルベレスとさほど変わらない。外世界に存在する意識を持つものが楽しみや喜びといった感情を抱いて世界認識に歪みが生じたときにはカーセルベレスに毒花が、憎しみや悲しみといった感情を(以下略)セレブレストラに化け物が現れる。これらを浄化し、外世界の安定を図るのがセレブレストラとカーセルベレスに与えられた仕事である。
【外部研修】がいぶけんしゅう
薔薇兵訓練生三年で行われる研修。普段いる首都から離れて、東都、西都、北都にあるガーデンの支部で一週間ほど訓練を行う。三都のどこに行くかは選べない。部隊によっていつ行くかは違う。能力の向上という目的のほか、環境の違いを理解したりその支部の薔薇兵と親睦を深めたりする目的もある。一種の遠足的行事ともいえる。
【“加護”】かご
生まれたときに与えられ、大人になるにつれて失っていく守りの力。具体的にどういうものかは知られていないが「小さな頃は女神様/神竜様がお守りしてくださる」という信仰のおかげで存在する概念みたいなもの。遅くとも25歳になる前には完全に失う(これはローズギアが使えなくなるという現象が起きて初めて知られたこと)。詳しい消失条件は不明。少なくとも肉体的変化がトリガーになるわけではない模様。セレブレストライト及びカーセルネクタルと共鳴し、これがあるおかげでローズギアや血鋏が使える。使いすぎると一旦破れるがしばらく休むとまた元に戻る。
ロガーナ様曰く「ある種の殻」。
その正体は「他者に認識されなければ存在できない」という法則のある浄化世界において生まれたての未分化で自己の確固たる認識が確立していない存在(ざっくり言えば子供)をはっきりと認識させるために神が与える外殻。それぞれの世界の神は歪みと似た性質を持つ部分もある(恩寵はプラスの歪み、畏怖はマイナスの歪みとも捉えられる)ため彼らが与える“加護”と歪みが形となったセレブレストライトやカーセルネクタルと共鳴する。
神はその役割を考えると完全に観測者でしかない存在であり、あまりに影響力が大きすぎるので世界に直接手出しができないが唯一(女王の花と王の盃を介してという間接的な方法でだが)“加護”だけは与えることができる。
詳しくは https://suzumotimoti.amebaownd.com/posts/43578044
【神の隷】かみのしもべ
「他者に認識されなければ存在できない」という法則のある浄化世界において、最初にその世界の神を存在させるためだけに生み出された存在。あるいは概念。先述の法則が根本にあるものの、神の隷だけは「他者に認識されなくても存在できる」という性質をもつ。つまり浄化世界におけるイレギュラーであり、本来存在してはいけない存在。そのため神の存在が確立した後は深い眠りの中にいたが、浄化世界の安定のために再び呼び出され番の役目を与えられ、浄化世界の輪廻の中に組み込まれた。
女神の隷は女神を護する騎士として振るえばどんな歪みも浄化できる剣を操る力を、竜の隷は神竜を降ろす巫覡として自らの容姿を如何様にでも変える力をそれぞれ持つ。
彼らはもともと概念のような存在であるため感情や意思、あるいは性別はもたない。だが何度も「前世までの記憶を保持したまま人間として生まれ、番になり、眠りにつき、輪廻を辿り、再び人間に生まれる」というサイクルを経て人間と共に過ごすうちに少しずつ感情や意思を学んでいった。
【神の庭】かみのにわ
クイーンが普段いる場所であり、セレブレストラの中心。政治の場でもある。一般人の立ち入りは禁じられている。聖地として参詣する人も多い。奥の間と呼ばれる部屋があるが扉は固く閉ざされている。警備は青薔薇兵が担う。
【神の宮】かみのみや
カーセルベレスにおける神の庭にあたる場所。やはり奥の間がある。
【金の瞳の救世主】きんのひとみのきゅうせいしゅ
「セレブレストラが危機に瀕した時、女神の命を受けた金の瞳の救世主が現れ救ってくれる」とまことしやかに囁かれる存在。実在したという確固たる証拠はない。
過去に何度か起こったといわれる化け物の大量発生のたびに必ず金の瞳を持った者が現れ、化け物を殲滅してはどこへともなく去っていったという。現在では女神信仰から派生した伝説と考えられている。救世主は男性だったり女性だったり時代によって違うが、いずれも金の瞳を持つということは共通している。どの時代の救世主もその伝承の結末は「民衆からの熱狂的支持を危惧した為政者に呪い殺された」「終わらない化け物との戦いに絶望して自ら命を絶った」「妬みを買って毒殺された」など大抵悲劇で終わっている。
【クイーン】くいーん
セレブレストラの統治者。女神の血をひくとされ、金の瞳を持つ。その姿を直接見ることができるのは限られた者のみ。命の指標となる女王の花を持ち、それが傷つけられたり燃やされたりなどして枯れると本人も死ぬ……らしい。初代クイーンの血を絶やさないこともその役目。普段は神の庭にいる。
【血鋏】けっきょう
カーセルベレスにおいて毒花を駆除するために生み出された武器。鋏の形をした一対の刃と腰につけるカーセルネクタルの入った瓶、それから伸びる管から出来ており、刃は鋏の形をしている。ただし刃といえど金属ではなくカーセルネクタルと呼ばれる液体が刃の役割を担っている。“加護”があれば刃の向きや量を意のままに変えられる。減衰しないで液が真っすぐ出るのも持続的に後ろの瓶からカーセルネクタルが供給されるのも“加護”のおかげ。
カーセルネクタルは消耗品のため使っていけば無くなっていくが、一回補給したら二、三カ月は持つ。
これを扱って毒花を駆除する人々を庭師と呼ぶ。
さ行
【ジェルヴェーズ家】じぇるゔぇーずけ
古来より続く大貴族の流れを汲むセレブレストラ随一の名家。セレブレストラにおいてその名を知らぬ者はほとんどいないといわれるほど。ローズギアを開発した一族でもあり、ジェルヴェーズ社の社長一族でもある。ローズギアの技術が外部に漏れないように独占を認められているが、それでは周囲から不満が出るだろうということで神の庭に忠誠を示す(具体的に何をしているかは後程)ことでその勢力をある程度保ったまま現在に至る。それは彼らなりの生存戦略でもあるが批判的に見るものもいる。
【祝祭】しゅくさい
セレブレストラで年に一度、秋に開かれる大きな祭り。期間は大抵五日間。女神を崇め、収穫を祝い、次の一年も無事に過ごせるよう祈る(大晦日的なものではない)。祝祭期間はセレブレストラのあちこちで薔薇が飾られ、屋台が並び大いに賑わう。準備などは神の庭のみならずセレブレストラ中の企業や有志の他、ガーデンも協力している。
【浄化世界】じょうかせかい
セレブレストラとカーセルベレスのこと。
「他者に認識されなければ存在できない」という根本法則が存在する。外世界にはないこの法則を設けることで、外世界とは切り離された世界にした(切り離さなかったら外世界にも化け物や毒花が生まれてしまうのでそれは嫌だよね、そっちの世界で勝手にやっててよ、こっちに怖いもの持ち込まないでよっていうことで)。
【女王の花】じょおうのはな
セレブレストラを守り、人々に“加護”を与える花。クイーンの命の指標でもあるとされ、この花が枯れると死ぬと言われている。枯れた場合の蘇らせ方もちゃんとある。
【神竜と魔女の伝説】しんりゅうとまじょのでんせつ
カーセルベレスに伝わるおとぎ話。
「カーセルベレスは勤勉な国でした。ですがある時から、魔女がやってきて、人々にありとあらゆる享楽を授け、堕落させてしまいました。困った人々は神竜様に『どうかお助けください』と祈りました。祈りを聞き届けた神竜様は、魔女の元へ赴き、『お前の力は素晴らしい。ぜひその力で我をも満足させてくれ』と言いました。気をよくした魔女は自ら神竜様に贅の限りを尽くしたもてなしをしました。神竜様はそれらに夢中になったふりをして、隙を見て魔女に牙を突き立てました。『お前は民を誑かす悪しき者だ』、その神竜様の気迫に押された魔女は怯えながら許しを乞います。神竜様は二度と魔女が人を誑かさないようにと自身の血を杯に入れ魔女に飲ませました。するとたちまち魔女はその力を失い緑の石となり、二度と人々を誑かすことはなくなったとさ。」
【神竜の宮殿】しんりゅうのきゅうでん
エリアスがいる場所。神の宮の奥の間はここに通じているらしい。基本的にここに出入りできるのはエリアス本人、竜の隷かつ番であるヒイラ、エリアスと対等な立場の神ロガーナのみ。
【ストレムブラード家】すとれむぶらーどけ
かつて西都を中心に勢力を誇った大貴族の流れを汲む名家。元々商人の家系だったが成功を収め急速に力をつけ、一般貴族顔負けの権力を持つようになりクイーンの親戚と結婚して貴族待遇になった。貴族制が撤廃された今でも西都及び産業界では名の通った家。
【セレブレストラ】せれぶれすとら
物語の舞台。正式名称は「セレブレストラ女王国」。古い言葉で「祝福された地」という意味を持つ。基本的にこちらの世界と同じものが存在しているが、セレブレストライトを始めとする不思議な事物概念も存在している。建築物や食文化は西洋風の様式。政治体制はクイーンを頂点とし、その下に元老院と議会が存在する形。昔は貴族制が採られていた。その名残としてジェルヴェーズ家といった元大貴族の家が存続しており(ただし改革の途上で没落した家の方が多い)、今でもそれら名家は人々からある程度特別視されている。
地理的には周囲は森で囲まれている。森の中をひたすらまっすぐ歩いても、気づけばセレブレストラに戻ってきてしまうため外部がどうなっているかは不明。海はない。北には険しい山脈があり、踏破に挑み生きて帰ってきた者は未だにいない。
春夏秋冬の四季が一応存在するが、基本的に常春の国。ちょっと暑いor寒いくらいの変化しかない。夏に雨が降り、それが明けると秋になる。
恩寵の女神が広く信仰されておりそれに基づいた文化が根付いている、統治者のクイーンが女神の血をひくとされているなど宗教国家的一面も強い。かつて内乱があったこともあるが現在は概ね平和。治安は比較的良いが住人全員が善人というわけでもなく普通に犯罪は起こる。
首都、東都、西都、北都の四つの行政区分に分かれている。以下各地方の概要。
首都:セレブレストラの中心。神の庭やガーデン本部などが置かれており人口も一番多い。
東都:四都の中では最も狭いが花卉生産が盛んな土地。毎年祝祭には東都で育てられた花がクイーンに献上され祝祭を彩っている。荘厳な教会建築が建ち並ぶメルファ信仰特区が存在するのもここ。
西都:肥沃な大地が広がり、セレブレストラの食糧庫の異名を持つ。ここで作られた農作物は全国に出荷されている。これに伴い商業も盛ん。また、レストラン街があり人気観光地の一つとなっている。
北都:険しい山脈を背後に持つ比較的冷涼な気候。そのため昔から農業というよりは製造業等の工業が発展してきた。運河が整備されている。半分ほどはもともとジェルヴェーズ家領だった。
【セレブレストライト】せれぶれすとらいと
ローズギアの核ともいえる歯車の材料となる薄緑っぽい鉱石。もともとそこまで価値のない石ころのような扱いを受けていたが、子供が近づくと石が光るという現象が起こることに注目した当時のジェルヴェーズ家の当主が研究を命じ、一躍重要鉱石となった。歯車として利用してもすり減ることがない不思議な性質を持つ。直接セレブレストライトを加工して剣にしないのは制御できずに吹っ飛んでいくということを防ぐため、セレブレストライトが“加護”に反応する範囲が狭いためなどの理由があるから。石はあくまで動力源。
【セレブレストラ三大奇書】せれぶれすとらさんだいきしょ
セレブレストラにおいて昔書かれた、風変わりな内容の三冊の書物の総称。『森の日記』はそのうちの一つ。
【セレブレストラ暦】せれぶれすとられき
セレブレストラで使われている暦。Gratia、Cin、Feli、Fid、Espea、Ami、Ardo、Ver、Vanti、Loria、Cona、Eterの十二か月からなる。こちらの世界の暦とはGratiaから一月を当てはめていけば変換できる(もっとも【セレブレストラ】で述べているように四季の差はそれほどないのでVerの月がめちゃくちゃ暑いなどというわけではない)。
た行
【番】つがい
セレブレストラとカーセルベレスという二つの浄化世界を繋ぎとめるための存在。概念ともいえる。神の隷が交代でその役割を担う。期間についての定めは特になく、相方の迎えが来るまで。外世界が未成熟な時は浄化世界も未発達でありそれほど分化が進んでいなかった、また認識すべきものが現在と比べて少なかったため負担がそれほど大きくなく、一度の転生で数千年ほど番の役目を担うこともあった。
半身でセレブレストラを、半身でカーセルベレスを同時に認識することで両の世界をつないでいる。番が片目にかけているベールのようなものを通すと今自分がいないもう片方の世界を認識することができる。ちなみにこのベールは普通の人間には見えていない。また、“世界を認識して存在させる”ことが役目の神にはその世界に直接干渉する力はないが、番には世界に干渉して両世界のバランスをとるという使命も与えられている。これらの仕事に耐えうるよう普通の人間よりかは丈夫な体と長い寿命を持つ。長い寿命を持つ理由は他にも短期間に頻繁に番が交代することで認識のブレが生じるのを防ぐためというものもある。
その性質上、二つの世界を一つの存在が認識するということが重要であるため番の役に就くのは片方の神の隷のみ。片方の隷が番であるとき、もう片方は普通の人間として生きているか、もしくは神の世界で眠りについている。交代の時期になるとすでに人間として生まれていた片方の隷が現在番をやっている隷に会いに行く。また、番となった隷は人間であった頃の自身を人々に忘れられてしまう。
【毒花】どくばな
カーセルベレスに出現する、薄緑っぽい花。蔦のようによく伸びる。人間を襲うのみならず王の盃に向かう性質があるらしい。花だが非常に硬く並みの剣では切断することができない。従来は金槌等の鈍器で花の部分を砕くことで駆除をしていた。血鋏の発明によりカーセルネクタルで毒花そのものを溶かして駆除する方法が現在では主流。
見た目こそ綺麗な花だが神出鬼没で地面から生えてくる。これに巻かれた人は眠るように幸せそうに息を引き取る。先述の通り石同然の硬さのため巻かれたらほとんど助からない。
その正体は外世界に存在する意識が生み出す喜びや幸せといったいわゆるプラスの感情から生じた認識の揺れの具現化。
な行
【庭師】にわし
毒花を駆除することを生業とする人々。かつてはカーセルベレスにおいて庭師養成を目的とした機関が存在したが、血鋏が使えなくなったために廃れ、現在では術を知っている人が細々と後継者を育てる形になっている。
は行
【化け物】ばけもの
セレブレストラに出現する、言語による意思疎通が困難な怪物。血のように赤くてどろどろしている。何らかの理由で女王の花を狙うとともに人間を襲っている。襲われた人間は彼らの餌となり捕食される。神出鬼没でいつでもどこにでも現れるという厄介な性質を持つ。三本の足を切断して動きを封じた後で目を破壊するのが討伐の常道。このとき足は同時に切断しなければいくら傷つけても再生してしまう強い再生能力を持つ。この対策のためにローズギアが開発された。
倒した後の残骸は消えるため死体処理の必要は特にない。たまに一部分だけ残る場合もあるが、そのような場合はガーデンの研究所が引き取るなり焼却するなりされる。ごくまれにセレブレストライトを落とす個体もある。
その正体は外世界に存在する意識が生み出す悲しみや憎しみといったいわゆるマイナスの感情から生じた認識の揺れの具現化。
【薔薇部隊】ばらぶたい
男女ごとに薔薇兵で構成された部隊。各色に役割や特色がある。
以下各部隊の概要。
赤薔薇:精鋭、エリート部隊。実力者揃いで前線でガンガン戦う。「薔薇兵といえば赤薔薇」というイメージがあるほど薔薇部隊の顔であり赤薔薇兵に憧れる者も多い。当然狭き門である。
黄薔薇:最も人数が多い部隊。他の部隊に選ばれなかった薔薇兵が行き着く先のような扱いを受けているがいなければ全体が立ちいかなくなる、そんな部隊。
白薔薇:いわゆる衛生兵。薔薇兵、一般人問わず負傷者の手当てをする。
黒薔薇:伝令や分析、情報収集などを担当。メカブロ世界に無線なんてものはまだない。
青薔薇:近衛兵かつ表沙汰にしにくい事件(クイーン関係)の対処が役目。令息令嬢と奇才人の集う魔境でもある。他の部隊よりもできることが多いぶん責任も重い。
白薔薇と黒薔薇も戦うときは戦います。それぞれ救援と情報収集という任務はあれど薔薇兵の主要任務はやっぱり化け物退治なので。
【薔薇兵】ばらへい
ローズギアを装備して化け物と戦う兵士を指す。“加護”の関係上、15歳から23歳前後の若者が主。男女別に分かれている。訓練生三年から実質正規兵扱い。殉職者はその部隊の色の薔薇の花びらで満たされた棺に埋葬される。“加護”が消えた後は一般兵や研究員としてガーデンに残る、大学に編入する、戦いから離れて別の仕事に就職するなど様々な進路がある。
セレブレストラにおいて特別視されている存在でもあり、薔薇兵になることが一種のステイタスと考える人もいる。ほとんどのセレブレストラの人々は命をかけて戦う彼らに敬意や謝意を抱いている。また、薔薇兵の活躍はよくニュースになるため隊長クラスになるとちょっとしたアイドルのような視線を向けられることも。
【薔薇兵記念館】ばらへいきねんかん
ガーデン本部に併設されている博物館。セレブレストラの化け物との戦いの歴史や薔薇兵の歴史について学ぶことができる。ガーデン関係者(薔薇兵、一般兵、研究員など)であれば無料で観覧できる。また、“継承の間”と呼ばれる展示室があり、そこには歴代の隊長たち(支部含む)からの言葉が壁に書かれている。これを書くには隊長になるだけではなく“加護”が消え薔薇兵を退職するまで生き残る(=薔薇兵を全うする)という条件がある。
ま行
【女神と竜の伝説】めがみとりゅうのでんせつ
セレブレストラに伝わるおとぎ話。
「セレブレストラは平和な国でした。ですがある時から、恐ろしい竜がやってきて、人を食べてしまうということが起こり始めました。人々は竜に生贄を捧げるようになりますが、大人しくなりません。困った人々は女神様に『どうかお助けください』と祈りました。祈りを聞き届けた女神様は、竜が現れるのを待ち、そしてついに竜は女神様の前に姿を見せました。女神様は人間のふりをして竜に食べられると、その流れた血で薔薇の花を染めました。竜がその薔薇に触れると、棘の生えた蔦が竜の全身に巻き付きました。食べられたはずの女神様はその力を以て竜から抜け出し、身動きのとれない竜に向かって言いました。『これ以上悪さをしてはなりません、血が欲しいなら私があげましょう』。女神様の慈愛に満ちた立派な態度に感化された竜は、それきりセレブレストラの民を食べることはなくなりましたとさ。」
この話を元に数多の芸術作品が生まれており、特に絵画では古くから主題となってきた。それらの多くは女神が竜を諭している場面が選ばれている。このとき女神が竜の上に乗っている、あるいは竜を踏んでいることが多いのは「女神が竜を教化した」「どんな凶悪(=竜)も恩寵の女神の手にかかれば鎮まる」ということを視覚的にわかりやすく示すためだとか。
【メルファ信仰特区】めるふぁしんこうとっく
約400年前に化け物が大量発生した際にそれを「女神様への信仰が怠惰になった罰」と捉えた篤信の人々が信仰の純度を高める目的で形成した区域。荘厳な礼拝堂が立ち並び、女神信仰の聖地のひとつとしても観光地としても有名。独自の習慣があるなどセレブレストラの中でも神秘的な地として認識されている。
【『森の日記』】もりのにっき
セレブレストラ三大奇書のうちの一つ。約500年前に成立か。タイトルの由来はよく分かっていない。
女神への冒涜あるいは神の庭に否定的なその内容ゆえに禁書のような扱いを受けていた。長らく行方が分からなくなっていたがここ数十年のうちに再発見された。散逸あるいは解読不能な部分もあるが大筋は解明されている。大きく分けて「権力者への愚痴」「竜を信仰する世界の話」「家族あるいは恋人に関する話」の三種類の記述がある。作者はリオン・マードックだが、現在のセレブレストラにおいては解明されておらず「当時の社会に強い怨嗟を持っていた」「識字能力があり、筆記道具が不自由なく手に入った」「家族あるいは恋人がいた」「化け物駆除に関する研究を遺した」「女神信仰に関する深い教養があった」という条件から零落した貴族ではないかと目されているにとどまる。
解読された内容が現代語に訳され一般書として出版されており、読書家の間で興味深い読み物としてひそかに知られている。また、セレブレストラにいくつか存在する秘密裡に竜を信仰する団体のバイブルにもなりつつある。
ら行
【竜の隷】りゅうのしもべ
エリアスに仕える存在。詳細は【神の隷】を参照。
【竜の巫女】りゅうのみこ
神竜に仕え祭祀を司る神官。神の嫁、供物という側面もある。
数十年、あるいは百年に一度、エリアスに対して深い信仰心を持つ者の中から選ばれる。その者は贄の儀式まで竜の聖堂で神竜へ祈りをささげる。贄の儀式の日になると神の宮の奥の間の向こうへ行き、神竜の餐として供される。一言で言うなら生贄。
正の歪みである快を浄化することを外世界の意識たちが本質的に避ける傾向があるため、カーセルベレスはその存在が揺らぎがちだった。そこで神への信仰を強固にしてカーセルベレスを保たせるためにこの制度が生まれたという。
【ローズギア】ろーずぎあ
装着者の意思により動く義手のような装置。先端の手の部分が閉じている時に薔薇のように見えることからそう呼ばれている。基本二本 の腕(薔薇)を持ち、背負って使用する。よく伸びるが使わないときはコンパクトに収まる。見た目は黒くてゴツいが装備者の負担にならないよう軽量に設計されている。これを付けることで単騎でも化け物を駆除することができる。“加護”に呼応して動くため、“加護”が完全に消えると使えなくなる。
セレブレストラ各地の公共施設や店に常備されており、薔薇兵自身が現場に立ち会ってはいるが勤務外でローズギアを装備していないときに使うことができる。ただし必要なとき以外に使ったら罰則あり。
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